森八

大正13年の宮内省御用

中宮茂吉が代表社員だった間、森八は幾度か宮内省から御用を賜る栄に浴しています。中でも茂吉を感激させたのが大正13年(1924)の御紋花落雁の御用でした。茂吉は詳細な「大正十三年宮内省御用誌」をまとめ、その序において「永古不滅ノ名誉ニシテ窮(きわま)リナキ広大無辺ナル」と記しています。また、記念アルバムを制作し、「無上の光栄に浴したる」と題して、森八の略歴や自らの経歴を披瀝(ひれき)しています。

御用命品御所落雁

宮内省御用品の製造風景(本社工場)

この御用菓子は、同年11月2日、摂政東宮殿下(後の昭和天皇)が第九師団の陸軍北陸方面特別大演習統監の際、金沢の成巽閣(せいそんかく)で参加将卒に下賜するためのもので、森八では20万個を納入しました。

「御用誌」は大正13年7月28日、石川県商工水産課から内命を受けたことから書き起こされ、宮内省との幾たびもの打合せを経て、製造を行い、無事、納品するまでの過程がつぶさに記録されています。

一連の業務に携わった従業員の名前も漏れなく記載されているほか、滞りなく納品を終えた同年12月2日には、県知事、金沢市長らを招き、北間楼で祝宴を催したことや、従業員一同に金一封を支給したり、慰労宴を金城樓で催したりしたことも紹介されています。